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上田大介

弁護士

daisuke.ueda@hhlaw.com.au

新潟出身。1999年に日本を離れ、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカでの海外生活を経てシドニーに定住。 マッコーリー大学で商学士号を取得後、ホテルやレストラン等ホスピタリティ業界で活躍し、その後に法律の世界に入る。 ニューサウスウェールズ大学の法務博士課程(専門職)で学ぶ傍ら2013年にH & H Lawyersに加わり、2017年に弁護士資格を取得。 ホスピタリティ業界に身を置いていたことから、雇用法、リース契約やリカーライセンス等、レストランビジネスに関する法律分野で豊かな経験を有する。 また、離婚問題や相続法など、家族法に関する問題も多く扱う。

取り扱い分野

主な 職歴・実績

  • 多国籍企業における雇用法問題に関するアドバイス

  • 飲食店のビジネス売買、賃貸、雇用紛争等に関する法務

  • オーストラリア国内の遺産相続法務

  • 国際結婚における離婚問題・財産分与に関する法務


学歴

  • Juris Doctor, University of New South Wales

  • Bachelor of Commerce, Macquarie University


メンバーシップ

  • The Law Society of NSW

取り扱い分野


資格

  • Lawyer, Supreme Court of NSW

  • Certified Sommelier (Court of Master Sommelier)


言語

  • English

  • Japanese

コラム

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個人のお客様

オーストラリアにおける遺産相続実務の基礎知識

オーストラリア国内に資産を所有したまま人が亡くなると、多くの場合、遺産相続に関して一定の法的・実務的手続きを行う必要が生じます。 まず最初に確認すべき事項は、故人が遺言書(Will)を残しているかどうかです。遺言書が存在する場合、通常はその中で、遺産相続手続きを統括する責任者として「遺言執行者(Executor)」が任命されています。相続手続きは、原則としてこの遺言執行者が中心となって進めることになります。 一方、遺言書を残さずに死亡した場合、遺産は法律で定められた法定相続分および法定の優先順位に従って分配されます。この場合、遺族の中から、遺産相続実務を担当する責任者として「遺産管理人(Administrator)」が選任されます。 次に確認すべきは、相続および分配の対象となる遺産の内容です。遺産の種類や保有形態によっては、裁判所に対して遺言書の検認(Probate)の申立て、または遺産管理分配許可証(Letters of Administration、以下「LOA」)の発行申請を行う必要があります。 プロベートやLOAの申請は裁判所での正式な手続きとなるため、弁護士に手続きの代行を依頼するケースが一般的です。もっとも、遺産の内容によっては、プロベートやLOAを取得することなく相続手続きを進められる場合もあります。 プロベートまたはLOAを取得した後(あるいはそれらが不要な場合)には、各遺産の具体的な相続・分配作業に移行します。例えば、金融機関との連絡、銀行口座の解約や残高の送金、不動産の売却や名義変更など。相続手続きの責任者が十分な英語能力を有していれば、遺言執行者または遺産管理人が自ら金融機関や不動産業者とやり取りを行うことも可能です。 しかし、相続手続きの責任者が日本在住であったり、英語での実務対応に不安がある場合には、これらの遺産分配実務についても弁護士等の代理人に依頼することが現実的かつ有効な選択肢となります。 いずれにしても、どのような相続手続きが必要となるのかを早期に見極めるためにも、できるだけ早い段階で、オーストラリアの遺産相続実務に精通した弁護士に相談し、適切な助言を受けることが重要です。

19 Dec 2025


当事務所関連

H & H Lawyers、無料遺産相続セミナーを開催

H & H Lawyersはこのたび、オーストラリア日本の弁護士法人「賢誠総合法律事務所」、税理士法人「山田&パートナーズ」、および日豪会計事務所「ブリース洋子公認会計士事務所」と共催で、遺産相続法に関するセミナーを開催いたしました。 ご参加いただきました皆様に、心より御礼申し上げます。参加者の皆様、ならびに共催者の皆様のご協力のおかげで、大変有意義で充実したセッションとなりました。 日本とオーストラリアの両国に資産をお持ちの方々にとって、それぞれの国の相続法の違いを理解しておくことは非常に重要です。相続は多くの場合、差し迫った状況にならない限り意識されにくいテーマですが、実際に問題が生じた際に日豪の異なる法制度に直面することは、大きな精神的・経済的負担となりかねません。そのようなリスクを避けるためにも、事前の準備と適切な計画が不可欠です。 相続や遺言に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽に当事務所までお問い合わせください。

09 Apr 2025


セミナー

H & H Lawyers hosted a seminar in collaboration with the Australia-Japan Society of NSW Inc. (AJS-NSW)

On 17 April 2024, H & H Lawyers hosted a seminar on the topic "Japan/Australia Cross-border Employment – Legal Issues for a Mobile Workforce"in collaboration withthe Australia-Japan Society of NSW Inc. (AJS-NSW). Our Tin-Lok Shea and Ueda Daisuke, and Ken Takahashi of Kensei Law Office (Kyoto), gave presentationsaddressingsome ofthe legal pitfalls arising from cross-border employment between Australia and Japan.It was particularly enlightening having Mr Takahashi provide his insights as Japan qualified lawyer ("bengoshi"). The seminar was well-attended by AJS members and generated plenty of discussions afterwards duringa networking session over cheeseandwine(handpicked by our very own sommelier, Ueda Daisuke).Since 1996, we have been advising many Australian and Japanese companies in relation to their inbound and outbound cross-border transactions across a wide range of industry and business sectors such as property, retail, biomedical, construction, energy, financial services, education, franchise, hospitality, mining and manufacturing.

22 Apr 2024


労働法

オーストラリアにおける労働法 — カジュアル従業員の権利

Q:5年ほど前に“カジュアル従業員”として雇われ、月~金、9~17時の出勤で、法律上の最低賃金に25%のカジュアル手当を加えた給料が支払われています。この間、友達から「それって実質的に はパーマネント(フルタイム)従業員なんだから、有給休暇とかの権利があるんじゃない?」という指摘を受けました。私には実質的なフルタイム従業員として、そのような権利があるのでしょうか? A:正確なアドバイスをするためには事実関係を詳しく分析する必要がありますが、原則的に、カジュアル従業員としての雇用契約書を提示され、合意し、基本時給に25%増しのカジュアル手当が支払われているのであれば、フルタイム従業員と同じ勤務時間で働いていたとしても、それはカジュアル雇用だと考えられます。 しかし、だからといってフルタイム従業員の持つ権利をカジュアル従業員は全く持たないというわけではありません。例えば、カジュアル従業員はAnnual LeaveやPersonal Leaveの取得権利こそ有しないものの、Long Service Leaveの取得権利は発生する可能性があります。 また、そのカジュアル雇用が「定期的かつ体系的なものであり、継続的な雇用が妥当に期待できるもの(Regular and systematic basis with reasonable expectation of continuing employment)」である場合には、不当解雇の訴えを起こす権利や、Flexible Work Arrangementを求める権利も生じえます。 現実問題として、今回の相談者のように、カジュアルで長期間に渡りフルタイム従業員のような勤務時間で働いている場合、上記のような権利が生じるかは事実関係に委ねられ、明確にはなっていません。こうした問題を回避すべく、近年、法律の改正があり、多くのカジュアル雇用において( “Small Business” 等の例外もありますが)、定期的に継続するカジュアル雇用が開始してから12か月が経過した従業員に対して、雇用主は、フルタイムまたはパートタイム(パーマネント)雇用への変更をオファーする義務を負うことになりました。あくまでオファーなのであって、従業員として「私はカジュアル雇用を継続したい」というのであれば、断っても問題ありません。この法改正により、少なくとも1年目において、雇用ステータスを明確にし、後に「私は実質的にフルタイム従業員なのでは?」という問題が起きるリスクを軽減させています。 また、今回の相談者のような従業員は、最初の12か月目のパーマネント雇用オファーのタイミングの後であっても、雇用主に対してパーマネント雇用化を求める権利が生じる場合があります。雇用ステータスとその権利を明確にするためにも、まずは雇用主と相談することをお勧めします。

29 May 2023


個人のお客様

オーストラリアで離婚 — 敷地内別居中の(元)パートナーに出て行ってもらうには?

Q:この間、妻と離婚の合意をしました。オーストラリアで離婚をするためには、原則的に12か月以上に渡り別居していることが必要だと聞き、寝室を別にするのはもちろんのこと、居間に間仕切りを入れて二つにしたり、キッチンの利用時間を割り当てたりしましたが、ストレスがひどく、どうにかして相手に家から出て行ってもらうことはできませんか? A:そうした状況であれば、恐らく相手のほうも早く出ていきたいと考えているのでしょうが、レントの金銭的負担が重い場合、すぐに出ていくという決断が難しいだろうと思います。 これが純粋に不動産法の問題であれば、不動産の名義人が誰であるか、大家とリース契約を結んでいるのが誰であるかによって、誰がその家に残り誰が出ていくべきかという判断は簡単につきます。しかし家族法の問題としては、名義人やリース契約の当事者が誰であるかは決定的な要素ではありません。 家庭法の問題として合法的に(元)パートナーを家から退去させるためには、裁判所から退去命令を得る必要があります。ただし裁判所からFamily Law上の退去命令を出してもらうためのハードルは高く、例えばDVなどで一方の当事者の身に危険がある場合などでなければ強制退去は難しいというのが現実です。なお、DVが伴うケースであれば、Family LawではなくCriminal Lawの問題として、警察などを通じてDomestic Violence Orderにより、DVの加害者を家から強制的に退去させるという事は比較的速やかに行うことが出来ます。 持ち家であれば、それは婚姻財産分配の対象となり、一方が退去しても、家の権利あるいは家を売却してその売却益の分配を受ける権利には影響しませんので、そのような険悪な状態を続けていくよりは、お互い話し合って、どちらが退去するか決めてはいかがでしょうか?もし話し合いが決裂した場合には、自ら家を出て婚姻財産分配のための交渉・手続きを開始してしまうというのも選択肢の一つです。元パートナーが家に残って家賃の負担なく住み続けるという状況であれば、明らかに不公平ですから、退去に当たり例えばその期間のホームローン返済は元パートナーが行うなどの条件をつけてはいかがですか?これらの負担分をすべて考慮に入れ、最終的にフェアな婚姻財産分配になるよう話し合いを行っていく事になります。

27 Apr 2023


個人のお客様

オーストラリア家族法 ― 遺産は婚姻財産として分配の対象になるのか?

Q: 半年前から、15年連れ添った専業主婦の妻と離婚を前提とした別居中です。先般妻より婚姻財産の分配について打診がありました。共同名義のマンションや、私のスーパーアニュエーション、銀行預金等を分けるのは納得できますが、私が相続した遺産も婚姻財産として分けなければいけないのでしょうか?というのも、結婚して3か月後に私の祖母が亡くなり、約$15万ドルを相続し2年後に共同名義のマンションの購入資金にあてました。ちなみにマンションの購入価格は約50万ドルで、現在は120万ドルの価値があります。また、昨年私の父が他界し父親名義の東京にある約4,000万円のマンションを相続する事になりました。 A:離婚の際に一方が相続した遺産を分配対象の婚姻財産として分けなければならないかは、相続した時期、婚姻期間、婚姻財産に対する相続した遺産の割合等が考慮されます。すなわち、相続した遺産とは言え状況によっては分配対象の婚姻財産となってしまうという事です。相談者のケースでは、約15年前に相続した祖母の遺産は、既に共同名義のマンション購入代金として充当されていて、かつそのマンションの価値が相当上がっているとすれば、婚姻財産として分配対象となる可能性が高いです。その理由として、相続した時点からかなり時間が経っている事、今のマンションの価格に対する遺産の額が比較的少ないこと、専業主婦として奥様は今のマンションの価値を上げるために貢献したとみなされる事等が考えられるからです。無論、相続した額が15万ドルではなくその10倍の150万ドルであったような場合には違った結果になり得ます。他方、昨年お亡くなりになったお父様名義のマンションについては、相続した時期が別居後であり、比較的最近のことですので、相続対象となる婚姻財産とは見做されない可能性が高いです。相談者の場合には15年前とつい最近の相続という事で、相続時期の違いにより、これが分配対象の婚姻財産かどうかの判断が比較的容易にできますが、例えば相続時期が10年前であっても、その資金が相続人名義の別口座で運用されていた場合等にはこの判断が難しくなります。分配につきお互い同意できなければ、最終的には裁判所が全体の事実関係を考慮し、遺産が婚姻財産として分配対象となるか否かを判断する事になります。

30 Mar 2023