Q:最近、友人が亡くなり、その遺言書で私がExecutor(遺言執行人)として任命されていました。私はExecutorとして、どんな事をしなければならないのでしょうか?
A:Executorは遺産相続手続きを行う上で最も重要な役割を担います。その責務はかなり重く、個人的な責任を負わされる事になりますので、法的にその任命を拒否する事も可能です。その場合は新たなExecutorが任命される事になります。その任命を受ける事を前提として、すぐに着手しなければならない作業は多くありますが…まずは葬儀人(Funeral Director)に連絡しましょう。死亡証明書取得等必要な手続きはFuneral Directorに依頼するのが一般的です。どのような葬儀をおこなうかは遺言書に示されている故人の希望を踏まえ、遺族と話し合って決めるのが良いと思います。遺言書に相続人として記された方々には確実に連絡をして、自分が相続に関する手続きを行うExecutorとして任命された旨、伝えなければなりません。
死亡証明書が発行された後、次はこれをもって、ATO、銀行、保険会社、Medicare、Superannuationファンド、電気・ガス・電話会社等々に死亡通知を出します。
次は遺産探しです。故人が遺言書と合わせて資産目録を用意していれば良いのですが、そうでなければ、預金、株式、Superannuation、不動産や車など、どういった遺産が存在するのか確認する必要があります。遺言書の内容によっては、家具などの私物も細かく相続対象となっていることもありますので、詳細な遺産リストを作る必要が出てくるかもしれません。Executorとしてそれら資産を売却し現金化する事が求められる可能性もあります。
遺産内容が把握出来たら、次は Probateの取得手続きを始めます。オーストラリアで遺言書に従って遺産相続手続きを行うためには、裁判所で “Probate” の申請をおこない、裁判所より「遺言書に従って相続手続きを行っても良い」という「許可」を得ることが必要になります。例外的なケースもありますが、一般的に故人の銀行預金を引き出したり、動産・不動産の売却や名義変更等をするためにはProbateが必要です。このProbate申請は複雑ですので、弁護士に依頼するのが無難です。
Probateが得られたら、遺産を遺言書の定めに従い、相続人らに分配します。遺産相続に関し、税務が生じることもありますので、会計士に相談するのも忘れずに。
上記以外にもExecutorの役割には色々ありますが、遺言書の内容や遺産によってはExecutorの作業はひどく複雑になることがありますので、早い段階で相続法務を扱う弁護士に相談するのが良いと思います。