Q:9か月前に$25,000を投じ、オフィス用に最新のコピー機兼プリンターを購入しました。あまり名の通った会社の製品ではありませんが、その機能に比べ結構安かったので購入することに決めました。購入当初から機械の調子が悪く、何度か修理に来てもらったのですが、すぐにまた故障してしまい困っています。また、業者からは「私たちは中国の会社から製品を輸入しているだけだから、これ以上問題があるのなら中国の製造業者に直接クレームしてくれ」ともいわれました。最近では修理の要請依頼も無視されてしまっています。知り合いに相談したところ、事務所で使用するコピー機等は業務用であるため、消費者保護法上の保護は受けられないと聞きました。本当でしょうか?
A:相談者の知り合いからのアドバイスは間違っています。また販売店からの「中国の製造業者に対してクレームしてくれ」というのも、適切ではありません。今回の件に関しては、十分オーストラリア消費者保護法(Australian Consumer Law、略して「ACL」)によって定められている消費者保証にしたがって販売会社にクレームすることが可能です。
ACL上の消費者保証の対象者は「$40,000未満の製品を購入した者」と定められています。つまり、その製品の使用目的が、個人消費または、家庭内で使われるような性質の製品でなくとも、$40,000未満であれば消費者保証の対象となります。(注:今回の記事を書いている2020年8月現在では、ACLの“消費者”の定義の金額上限は$40,000ですが、2021年の7月1日からはこの上限額が$100,000に引き上げられることが予定されています。)
しかし、例外として「製品の購入が卸売や転売目的であった場合」または「商業目的で、その製品を何か別のものに作り替える、或いはその製品を他の物の修理に使用する場合」が定められています。今回はこの例外には当たらないと思われます。また、消費者がその購入した製品の不具合に関し、その都度海外の製造業者にクレームするという事は、消費者に対し、非現実的な負担を与えることになり、事実上クレームが出来ないことになってしまいます。この点をカバーするため、ACL上今回の販売店のような輸入業者を「あたかも製造業者」とみなしALC上の義務を負わせています。したがって、商品を販売する輸入業者はこの点の留意が必要です。
今回の相談者には、購入されたコピー機の不良の度合いによって販売会社に対し、返品、返金、無償修理を求める権利が生じるものと考えます。Fair Trading NSWや、Australian Competition and Consumer Commission等の政府機関の相談窓口を通じてクレームすると良いと思います。