Q:先週、中古車を$5,000の現金払いで購入しました。3回ほど乗ったのですが、昨日突然エンジンが動かなくなりました。近くの自動車修理屋に持っていったところ、エンジンを全取り換えしなければならないといわれました。売手に連絡をしてみると、「$5,000の安物なんだから壊れても文句を言うな」と、何ら対応をしてくれる気配もありません。どうしたらいいでしょうか?
A:カーディーラーを通じて車を購入する場合は、新品・中古の別を問わず、原則的にオーストラリア消費者保護法の対象となり、その車が“Acceptable Quality”であるという法定消費者保証が付きます。どの程度の品質が“Acceptable”として保証されているのかの判断は、その車の年式・走行距離や、購入時・購入後の状態を鑑みた上でのケースバイケースの判断になります。
例えば、もしもこの車が20年落ちモデル・走行距離20万キロ以上の車で、購入前に「今のところは問題なく走っているけど、そろそろエンジンの寿命が近い」と注意を受けた上で$1,000で購入し、1年乗った果てに壊れた…という場合、これは$1,000相応の“Acceptable Quality”であったと判断される可能性が高く、流石に保証外になるように思われます。
本件は年式や走行距離は不明ではあるものの、$5,000で購入した車が1週間で3回運転しただけで壊れたということであれば、これは保証対象になる可能性が高いように思われ、ディーラーには返金や修理といった対応をする義務が生じると考えます。
更に、NSWにおけるディーラー販売の中古車については、オーストラリア消費者保護法に加えて、Motor Dealers and Repairers Act というNSW州法により、購入後3か月以内(又は走行距離5,000キロ以下)において法定保証でカバーされることがあります。
まずは担当官庁であるAustralian Competition and Consumer Commission (「ACCC」)またはNSW Fair Tradeという機関に相談してみるといいでしょう。
ところで、これらの消費者保護はディーラーなど、ビジネスを通じての売買に適用されるものであり、個人間で売買される車両には適用が難しく、またACCCやNSW Fair Tradeといった機関の管轄から外れることにもなり得ます。
売買プラットフォーム(例:ebay)によっては紛争解決のために仲介をしてくれるところもあるようですが、一般的には個人の売手に対して、買手がアフターサービスや返金を求めることは(そのための別途取り決めがない限り)難しくなります。よって、ディーラーから買うよりも個人から買ったほうが購入金額は安く上がりますが、その分のリスクは伴います。