Q: 先日別居中の夫から新しい家庭を持ちたいので、正式に離婚したいと言われました。夫とは15年前に結婚し、7歳と9歳の子供がいます。夫は5年ほど前に今住んでいるアパートから出ていき、それ以来別居状態が続いています。このアパートは結婚当初より夫名義です。別居以降も生活費は十分な金額を定期的にもらっています。
夫はそこそこ成功しているIT会社のオーナーです。結婚して数年後、そのIT会社を始めました。初めのうちは事務関連を手伝っていましたが、上の子供が生まれてからはずっと専業主婦をしています。先日も口論となり、「お前には子供達が大きくなるまで今まで通り生活費は払う。それ以上払う気はない。」と言われました。私名義の資産はほとんどありません。夫とは会う度にもめるので、心身ともに疲れ果てています。子供達に遺産を残してくれるよう遺言状を書いてくれるのであれば、子供達を連れて日本に帰ろうと思っています。何か良いアドバイスを頂けますか?
A: 質問者は精神的に相当参っているようですので、まずは冷静さを取り戻す事が必要です。友達やカウンセラーに相談するのもよいと思います。
まず認識して欲しいのは、今あるご主人名義の資産(例えば銀行預金、IT会社の株、アパート等)は婚姻財産としてそれらに対しあなたにも権利があるという事です。法律は婚姻財産構築のための貢献として、あなたによる二児の子育て及び家事を認めてくれます。伺った事実関係から、おそらく、あなたには少なくとも50%の権利はあるでしょう。(ただし、アパートについては結婚前からのご主人の持ち物なので、その分配については若干複雑な要素を含んでいます。)
これに加え、二人の子供達を引き続き育てていくのであれば、50%以上の権利があるように思えます。二人の子供達、あなたの将来のためにもここで弁護士に相談し、婚姻財産の分配、子供の養育費、日本への里帰り等についてきちんと取り決めるべきです。ご主人と婚姻財産分配につき冷静に話せる状況でない場合には、全て弁護士に任せるのが良いと思います。また、ご主人が威圧的であったり、暴力をふるったりするようであれば、すぐ警察に連絡してください。
ちなみに、いくら遺言状が残されたとしても、いつでもご主人はそれを書き換える事が出来ますし、遺言状に何が書かれていようとも、ご主人に新たな家族が出来れば、その新たな家族に遺産相続の権利が生まれてしまいます。従って、遺言状を書いてもらうというのはあまり有効な手段とは言えません。
また、子供達を日本に連れ出す場合にはご主人の同意が必要になります。