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ティンロク・シェ

ティンロク・シェ

弁護士

ティンロクは、主に税法、商法、及び会社法を担当しており、日本の上場企業を含む多くのM & Aに関するアドバイスを行って来た。香港で生まれ、 幼少年期を日本で過ごし、1990年オーストラリアに移住。 2008年、ニューサウスウェールズ大学法学部を卒業、2009年、弁護士資格取得。当事務所に入所する前は、大手会計事務所デロイトで税法に関連する業務に8年間携わっていた。 税務サービスチームのアカウントディレクターを務め、政府や多国籍企業の複雑で重要な取引に関するアドバイスを行って来た。アジアオーストラリア弁護士協会のNSW支部の執行委員。 ティンロクは英語と日本語が堪能。

取り扱い分野

Qualifications

  • 弁護士資格 (NSW州最高裁判所)

コラム

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税法

オーストラリアの税法 ― 2020年度タックスリターン

2020年の3月に始まったCOVID-19に関する様々な規制により、多くの人々が在宅勤務をすることになりました。本記事では、在宅勤務に関する経費・税金控除についてご説明します。 仕事に関し必要となる出費は、“経費”ということで税金の控除対象になり得るわけですが、では法律上、どういった出費を経費扱いにできるのか?という点は、一般人にとってあまり馴染みのない分野かもしれません。そこでオーストラリア国税局(ATO)は2020会計年度タックス・リターンに関する経費・税金控除のための、簡略化された計算方法(以下「ショートカット計算法」といいます)を新たに発表しました。 まず原則として、出費が経費として認められる(税金控除対象となる)ためには、以下の三条件を満たす必要があります。 実際に出費があったこと。 その出費が、個人の収入に直接的な関係があること。 上記1と2を証明できる記録があること。 以下、3種類の税金控除計算方法につき概要を説明します。 税金控除対象となり得る品目 税金控除対象とならない品目 必要となる条件 ショートカット計算法 2020年3月1日から6月30日までの期間における、在宅勤務1時間あたり80セント。 つまりこの期間フルに週38時間の在宅勤務をした人の場合、約$500弱の課税所得控除が申請できることになります。 ユーティリティや備品に関する実際の経費。(“1時間当たり80セント”という課税所得控除がこれらの経費を既にカバーしていると考えられるため) 出勤表や日記など、在宅勤務時間を証明できる記録があること。 定率計算法 (光熱費及び自宅オフィスの什器備品の減価償却費として)在宅勤務1時間あたり52セント 話通話料、インターネット使用料、文房具類に関し実際に発生した経費 $300ドル以下の仕事関係の什器備品(例:パソコンのモニター)につき、その購入代金の全額 $300ドル以上の仕事関係の什器備品(コンピューターやスマートフォン)につき、その有効寿命に関連した価値減少分。 例えばノートパソコンの有効寿命は2年、デスクトップパソコンは4年、携帯電話は3年です。詳しくは下記ATOのウェブサイト参照。 光熱費及び自宅オフィスの什器備品の減価償却費等、“1時間当たり52セント”で既にカバーされているとされる経費。 Non-deductible expenses, e.g: 控除対象とならない出費。 例: -スナック類 -トイレットペーパー -コーヒー、茶、ミルク等の飲料 - 高級文房具 - 在宅学習やチャイルドケアに関する費用 - 雇用者側で支払いがされている費用 自宅に、仕事のためのオフィススペースがあること。 以下についての、十分な記録があること - 領収書等、出費の証拠 - 電話の使用履歴につき、仕事・私用の割合が算出できる記録 - 日記やタスクシート等、日々の(在宅)勤務の記録 - 仕事関係のインターネット使用の履歴記録 - 仕事関係に使用した什器備品で減価償却対象となったものにつき、過去1年のうちの仕事用途での使用日数の記録。 Actual expenses method 実費計算法 実際の経費(例:電気・ガス代) ホームオフィスの清掃費用 電話通話料、インターネット使用料、文房具類に関し実際に発生した経費 什器備品やホームオフィス家具の修理費 $300ドル以下の仕事関係の什器備品(例:パソコンのモニター)につき、その購入代金の全額 $300ドル以上の仕事関係の什器備品(コンピューターやスマートフォン)につき、その有効寿命に関連した価値減少分。 控除対象とならない出費。(上記と同様) 自宅に、仕事のためのオフィススペースがあること。 上記の定率計算法と同様の各種記録があること。 Q:COVID-19の影響が出る前に購入した什器備品に関して、減価償却計上はできる? A:それが在宅勤務のために実際に使われていた什器備品 であれば、COVID-19以前に購入したものであっても減価償却計上は可能です(但し既に全額償却されたものは除く) 例:ノートパソコンの有効寿命2年ですので、仮にこれを去年購入していたとしても、それが仕事用のものであれば、今年のタックスリターンでも減価償却の対象となります。 このノートパソコンを1年前に$4000で購入していたとして、私用・仕事目的の使用割合が50/50だったとします。これを3月1日から6月30日まで(121日)の期間分に渡り減価償却計上する場合: $4000 (コスト) × 50%( 2年の有効期間中1年) × 33%(121日 / 365日) × 50%(総使用時間に対する仕事目的での使用時間) = $330 ということになり、(もしも他の経費のクレームを一切しなかったとしても)定率計算法を適用したほうが、ショートカット計算法よりも、節税ができることになります。 もしも2年以上前にノートパソコンを購入している場合は、有効寿命を過ぎて全額償却済みということになりますので、控除対象にはなりません。 Q:住宅ローン、賃料、市税などを、「ホームオフィス関連の出費」ということで経費扱いにできる? A:平時から自宅を職場として使用している個人事業主の場合でしたら、これらを経費扱いにできる場合もあるかも知れませんが、普段は会社で勤務している従業員がコロナの影響で在宅勤務に切り替わったというだけでは、これらの不動産関係の出費は経費扱いにはできないと考えます。 これら不動産関係の出費を経費として計上するには: そこが完全に“職場”であるということが求められます。つまり、その仕事場を「仕事に使っているけど、自宅としても使っている」というのでは駄目なのはもちろんのこと、「仕事に使っているけど、住居としても使える」といった物件・部屋に関しても、出費を経費扱いにするのは難しいということです。 「在宅勤務のほうが便利だから」という理由で自宅をホームオフィス化するような場合も、これらの出費を経費扱いにすることはできないと考えます。 ちなみに、自宅を職場として使うような場合、“Main Residence減税”が一部適用外となってしまうリスクがありますので気をつけましょう。 Q:雇用者から在宅勤務手当を受け取っている場合でも、在宅勤務関係の経費計上はできる? A:経費計上は可能ですが、そうした在宅勤務手当については、“所得”として、タックスリターンの際に申告しなくてはいけません。 Q:ホームオフィスから職場への移動にかかる費用を“出張費”として経費計上できる? A:ホームオフィスは自宅扱いです。出勤・帰宅は出張扱いにできません。 Q:Jobseekerは非課税? A:Jobseekerは“所得”扱いになりますので、タックスリターンの際に申告する必要があります。しかし、もしもJobseekerを含む総所得が非課税基準額($18,200)に満たない場合は、所得税は非課税となります。 注:Superannuationの早期引き出しについて Superannuationの早期引き出しを不適切におこなってしまうと、ATOの監査が入る可能性が高くなりますので注意が必要です。Superannuationの早期引き出しが可能となるためには: リストラ対象になった 仕事時間が20%以上削減された JobSeeker・Youth Allowance・Parenting Payment等を受け取っている (個人事業主の場合)20%以上、売上が減少した 等の条件を満たす必要があります。 もしも上記のような条件を満たしていないにも関わらずSuperannuationの早期引き出しをするようなことがあると、その引き出し分に対して課税され、罰金の対象となってしまう場合があります。もし不運にもこうした状況に陥ってしまった場合、又は一般的な税務関係の質問がある場合は、お気軽に当事務所にお問い合わせください。 ATOウェブサイト:ホームオフィス関連の経費について https://www.ato.gov.au/Individuals/Income-and-deductions/Deductions-you-can-claim/Home-office-expenses/ ATOウェブサイト: 減価償却と有効寿命について https://www.ato.gov.au/law/view/pdf?DocID=TXR%2FTR20195%2FNAT%2FATO%2F00001&filename=law/view/pdf/pbr/tr2019-005c1.pdf

01 Aug 2020


税法

オーストラリアの印紙税・土地税アップデート

背景 2020年6月18日、NSW 州税法の改正に関わる法案が州議会にて通過されました。この改正法案により、外国人による不動産購入に際し課せられる外国人特別課税(印紙税・土地税)が、「裁量信託(discretionary trust)を介し不動産を購入する場合、どのように適用されるか」という点が明確になりました。また、「裁量信託に対し外国人が受益者となることを除外した際の、外国人特別税の返金や課税適用の除外」に関する条項も改正されることになります。 印紙税・土地税の外国人特別課税とは NSW州において外国人が居住物件を購入・所有する際には、通常の印紙税・土地税に加え、外国人特別税(surcharge)として、通常の印紙税に加えて8%の追加課税、そして毎年12月末に、通常の土地税に加えて2%の追加課税が生じます。 通常適用される土地税の非課税限度(tax-free threshold)は、外国人特別課税については適用されません。つまり、通常は土地税が非課税となる評価額(例えば$500,000)の不動産であったとしても、外国人特別追加税(2%=$10,000)が課税されることとなります。 家族信託(family trust)も特別追加課税の対象となり得る オーストラリア国籍や永住権を持たない個人は、当然ながら上記の外国人特別課税の対象となりますが、ここで特記すべきは、原則的に裁量信託として国内で設立される家族信託(family trust)の多くが、「外国人」の定義に含まれることです。これは、仮にその信託の受益者になる可能性がある者の中に、一人でも外国人が含まれる場合には、その信託は「外国人」とみなされるためです。この際、受託者が実際に外国人受益者に信託財産を分配するか否か、または分配する意思があるか否かは無関係となります。また、そうした外国人受益者の存在が信託証書に明示されている必要もなく、外国人が受益者になり得るという点のみによって、該当する家族信託は外国人とみなされます。 しばしば家族信託の信託証書では、核家族だけでなく、広く親族を受益者として設定する場合があります。また、そうした受益者が所有する会社やチャリティー組織など、関連法人を受益者として指定するケースもあります。 例えば、上記の図のような当事者関係において、XYZ裁量信託の受益者として「A氏(オーストラリア人)」並びに「A氏が権利を有する会社・信託」が指定されていたとします。更に、99%の株式が外国人によって持たれているABC社があったとして、A氏はABC社に1株のみを所有しているとします。このような場合、「ABC社はXYZ裁量信託の受益者になる可能性がある」ということになり、XYZ裁量信託は「外国人」とみなされ、外国人特別課税の対象となります。XYZ裁量信託がABC社に対し信託財産の分配をした事実が無く、今後分配する意思が一切無くとも、この場合は無関係となります。 別の例として、当事務所が直近で確認した裁量信託証書では、その受益者として「大学・カレッジ等の教育機関(その種類を問わず、また所在のオーストラリア国内外を問わない)」という表記がされていました。この信託もまた、「外国人」の定義に含まれることとなります。 また、家族信託の受益者となり得る「親戚」の中に、外国人が含まれ得るような場合にも、その家族信託は「外国人」とみなされることとなります。 今回の法改正により、「信託の受益者となり得る者において、外国人を除外しない限り、裁量信託の受託者は、外国人受託者とみなされる」ということが明確になります。これにより、上記のような「みなし外国人信託」のカバー範囲の広さが改めて強調されると同時に、外国人が受益者に含まれないことを明記することで、外国人信託とみなされるリスクを回避することができることになります。 終わりに 仮に裁量信託を通じて不動産の購入を考えている場合、あるいは既に裁量信託によって不動産を所持している場合であっても、本法案が許容する猶予期間である2020年12月31日以前であれば、そうした裁量信託の証書に「受益者に外国人は含めないものとする」という条項を挿入・修正することができることになります。 2020年末までまだ半年ほどあるものの、家族信託が外国人信託とみなされ、特別課税の対象となるリスクを回避するためにも、早急に信託証書の修正を実施することをおすすめいたします。 外国人特別課税リスク回避や、信託証書の確認及び修正につきましては、どうぞお気軽にH&H Lawyersまでご相談ください。

03 Jul 2020


当事務所関連

Bringing the worlds of business together – H & H Lawyers

Thursday, 13 June 2019 – Rise of the boutique law firm Doing business with international partners – whether it be an entity operating on Australian soil or a local brand venturing offshore – can be fraught with difficulty. Between establishing a fresh customer base, navigating new laws, regulations and corporate governance, creating effective relationships and becoming nuanced with cultural mores (perhaps the trickiest of all), the business of doing business has the potential to bring an enterprise undone. For instance, exchanging a business card using one hand rather than two can be seen as a sign of disrespect in some cultures. Who would necessarily know? With Australians increasingly undertaking business across the world and with Asian powerhouses such as Japan, Korea and China, navigating the behind-the-scenes landscape, as well as providing direct services and advice, has become all important. Business owners and operators need to focus on what they do best, so employing people who specialise in troubleshooting make-or-break sensitive legal, technical and cultural matters is a vital and strategic move. Sydney’s H & H Lawyers offers this official and unofficial role in its capacity as a firm on the path to being Australia’s biggest ‘‘Asian’’ law firm. H & H Lawyers’ services include commercial and corporate advisory, acquisitions, dispute resolution, employment law, corporate migration and intellectual property. “Our bilingual lawyers have been inundated with work representing multinational corporations and government agencies from Japan, Korea and China that want to expand their businesses into Australia,” says Principal Ken Hong. “We have also been very busy acting for local clients with Japanese, Korean or Chinese backgrounds, or that have transactions with their counterparts in those three countries. “Demand for our services has escalated, so we are rapidly expanding to meet the demand.’’ Fellow Principal Yukio Hayashi says a vital aspect of the firm’s work includes “bridging fundamental cultural differences”. “This cross-cultural dexterity is not necessarily part of our brief, but it’s what we offer as well, as it is so essential,’’ he says. “Our team not only speaks the languages, but also intimately understands the cultural nuances of Asia. This saves our clients so much time in getting straight to the actual issues and resolutions. Without the right knowledge of culture, a lot of key messages can be lost in translation, particularly legal concepts, leading to a frustrating experience for all. “We had one situation recently in which there was an investment in an Australian business by a Japanese company. There were excellent managers and staff in situ, but the incoming management from Japan had their way of doing things that did not rest well with the Australian team, and vice versa.” “This friction was no one’s fault, but we made it our job to navigate the cultural minefield. We were able to get each side to see things from the other’s perspective and that made all the difference.” Hong and Hayashi say that by going this extra mile, the law firm can resolve difficulties and help international-facing businesses to thrive. “The importance of Australia’s trade relationships with Korea, China and Japan need no further explanation,’’ says Hong. “They are our top three trading partners. We look forward to continuing with our work and contributing to Australia’s successful trade relationships with those three countries.” Says Hayashi: “Our firm is well placed and equipped to help clients have a more fruitful, efficient and enjoyable experience in doing business.’’

13 Jun 2019


当事務所関連

シェ・ティンロク弁護士着任のご挨拶

H & H Lawyersでは、急増する税務関連業務に対応すべく、デロイト会計法人租税部でアカウント・ディレクターを務めておりましたティンロク・シェ氏を迎えました。 香港生まれながら英語と日本語に堪能であり、多様な言語・文化ニーズに即した税務サービスを、大小問わず多くの顧客の皆様に提供してきました。日々のビジネスに関連した税法アドバイスはもちろん、Australian Tax Officeや州政府に対する税金訴訟にも対応いたします。 学歴/キャリア UNSW法学部 KPMG – Tax Division勤務 JET – Coordinator of International Relations Deloitte Tax Services – Account Director

18 May 2017