Q: 夫と協議離婚をすることになりました。子供はいないのですが、飼い犬がいます。この子が私にとっても夫にとっても子供みたいなもので、双方、この犬の権利をめぐって争いになっています。離婚時のペットの扱いは、法律上どうなっているのでしょうか?
A: 近年、ペット(特に犬・猫)の多くは、家族の一員のように暮らしていて、多くの離婚において、誰がペットの所有者となるべきか、裁判所で争われるケースがあります。
離婚、婚姻財産の分配等に関するオーストラリアのFamily Law Act 1975 (Cth)には、離婚をしようとしている夫婦が飼っているペットに関する直接の言及はありませんが、これまでの判例で、家庭裁判所は「ペットも個人財産である」との判断を下しています。ペットも個人財産であるため、家庭裁判所は、同法第79条により、ペットを離婚当事者の財産の一部として考え、その所有権は誰にあるのかについて命令を下すことができます。
では、ペットはどれくらいの価値があるのかというと、一般的には、愛玩を目的として飼育されるわけですから、金銭的な価値はないものと考えられています。しかし、優良な血統などの理由により、金銭的価値があるペットに関しては、婚姻財産の一部として他の財産と同じように扱われるケースもあります。ペットの所有権をめぐって当事者間で争いがある場合には、家庭裁判所は、他の財産と同じように、各当事者の言い分を考慮し、その判断をします。
次のような状況は、ペットの所有権はあなたにあると主張するために有利となります。
例えば、
などです。
いずれにせよ、ペットの所有権については、裁判ではなく、調停や交渉などの方法で決定することが望ましいでしょう。大切なことは、子供の親権争いの時と同様に、ペットの場合でも、大切な事はそのペットにとって、どういう判断が最も幸福をもたらすかということではないでしょうか?