Q. 今朝、隣に住んでいる12歳の男の子のお母さんが血相を変えて家に来ました。なんでも、私の長男(14歳)と次男(9歳)が、その子に対し暴力をふるい、怪我を負わせたということです。その子は今、病院で手当てを受けているとのことですが、それほどひどい怪我ではないようです。その子のお母さんは、ともかく警察に訴えるとの一点張りです。長男に話を聞いてみると、ささいなことで言い争いになり、確かにその子を何回か「ぶん殴った」と言っていました。次男も近くにあった棒でその子の頭を数回叩いたということです。うちの子供たちはまだ幼く、ただの子供同士の喧嘩のように思いますが、このような場合、警察沙汰になってしまうのでしょうか?
A. あなたの長男と次男が隣人のお子さんに対して行った行為は、「正当防衛」などの特別な理由が無い限り、暴行罪に値する可能性があります。この点、あなたのお子さんたちに事件の詳細を聞く必要があると思います。ただし、たとえ暴行罪が成立したとしても、次男の方については10歳未満ですので、警察は彼を起訴することができません。つまり、10歳未満の子供は、刑事責任を問われないということです。
14歳の長男の方に関しては、そうではありません。つまり、警察は、長男の方を場合によっては暴行罪で起訴できるということです。ただし、14歳の未成年者ですので、通常の刑事事件における立証責任に加え、有罪にするためには、警察は彼が「ふざけ半分ではなく、本当に悪いことと知りつつ、その子を殴った」ということを立証する必要があります。この点についても、本人から詳細な話を聞く必要があると思います。
本件の場合、状況によっては、裁判沙汰にならずに済む可能性が多々あります。未成年者の犯罪については、言うまでもなく、当人の「更生」が最も重要と考えられています。そのため、Young Offenders Act 1997 (NSW) に基づき、今回の様な暴行事件に関しては、警察はまず本人に注意(warning)、勧告(caution)または当事者を交えた話し合いの場(conference)を設けるという方法が、本人の更生のために適しているかを判断します。もし適していると判断された場合には、裁判にはかけられず、上述の方法により事件が処理されます。ただし、この方法を得るためには、本人が、「有罪を認める」かわりに、隣のお子さんを確かに殴ったということを「確認する」必要があります。未成年者による全ての犯罪につき、この方法が適用されるわけではないので、留意する必要があります。なお、警察による未成年者の取り調べに関しては、親または成人支援者の同席が必要とされます。無論、未成年者であれ、黙秘の権利は認められています。