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遺言書の有効性につき争いが起きたり、家族や故人の被扶養者が相続権を主張したりする場合があります。私たちは遺言執行者、相続人、または相続権を主張したい人に対し、アドバイスを提供し、代理人を務めます。

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上田大介

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相続・遺言書

遺言書 ― Family Provision(オーストラリアの遺留分制度)

Q:私には3人子供がいるのですが、次男には遺産を何も遺さないとする遺言書を書こうと思っています。しかしオーストラリアにも日本の遺留分制度と似た、Family Provisionという制度があり、どんなに遺言書でその子の相続を廃除しようとしても、それができない可能性があると聞きました。こうした可能性を避けるには、どうしたらいいのでしょうか?   A:Family Provisionとは、「遺言書に相続の権利が明記されていない場合でも、故人の子供や扶養家族等は、遺産の一部を相続できる権利がある」というものです。但し、日本の遺留分制度と違い、明確な分配比率は定められていないため、それぞれの状況に基づき、どのような分配が妥当かを決める必要があります。この点、協議で合意が得られない場合には、裁判所で争われることになります。 裁判所はFamily Provisionに関する判決を出すにあたり、様々な事柄、状況、社会通念を考慮に入れます。 まず、遺言書の記す遺産分配が、公平・公正な分配であると判断される場合には、Family Provisionのクレームのリスクは下がります。この点、何故、次男に対し遺産を何ら遺したくないかという理由が重要となるでしょう。例えば、その理由が「生前、次男には事業のために多額の資金援助をした」「住宅購入のために頭金を出してあげた」等の理由があれば、次男のFamily Provisionを要求する権利は弱くなると考えられます。そのような理由がある場合には、直接遺言書、又は別紙にその理由を明記し、残しておくことをお勧めします。 また、遺産総額が少ないほど、裁判所はFamily Provisionのクレームを認めにくくなる傾向にあります。 財産を他の子供たちに生前贈与することも可能です。但し、現金以外の生前贈与の場合には、税務上(印紙税を含め)問題になる可能性がありますので、注意が必要です。また、Family Provisionの配分を決めるにあたり、場合によっては生前贈与も考慮に入れられてしまう可能性もあります。 死亡時の生命保険金は遺産ではないので、相続手続きとは別に、指定された受取人の手に渡ります。また、Superannuationについても、受取人を指定しておけば、生命保険と同様に、遺産の一部になることなく指定された人が受領できます。これらを活用することも可能ですが、生前贈与と同じく、これらもFamily Provisionの配分の考慮に入れられてしまう可能性があります。 結論として、客観的に公平・公正な理由が無い限り、Family Provisionの権利を持つ相続人を完全に相続から廃除するのは難しいということになります。