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林由紀夫

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ティンロク・シェ

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税法

印紙税・土地税アップデート

背景 2020年6月18日、NSW 州税法の改正に関わる法案が州議会にて通過されました。この改正法案により、外国人による不動産購入に際し課せられる外国人特別課税(印紙税・土地税)が、「裁量信託(discretionary trust)を介し不動産を購入する場合、どのように適用されるか」という点が明確になりました。また、「裁量信託に対し外国人が受益者となることを除外した際の、外国人特別税の返金や課税適用の除外」に関する条項も改正されることになります。   印紙税・土地税の外国人特別課税とは NSW州において外国人が居住物件を購入・所有する際には、通常の印紙税・土地税に加え、外国人特別税(surcharge)として、通常の印紙税に加えて8%の追加課税、そして毎年12月末に、通常の土地税に加えて2%の追加課税が生じます。 通常適用される土地税の非課税限度(tax-free threshold)は、外国人特別課税については適用されません。つまり、通常は土地税が非課税となる評価額(例えば$500,000)の不動産であったとしても、外国人特別追加税(2%=$10,000)が課税されることとなります。   家族信託(family trust)も特別追加課税の対象となり得る オーストラリア国籍や永住権を持たない個人は、当然ながら上記の外国人特別課税の対象となりますが、ここで特記すべきは、原則的に裁量信託として国内で設立される家族信託(family trust)の多くが、「外国人」の定義に含まれることです。これは、仮にその信託の受益者になる可能性がある者の中に、一人でも外国人が含まれる場合には、その信託は「外国人」とみなされるためです。この際、受託者が実際に外国人受益者に信託財産を分配するか否か、または分配する意思があるか否かは無関係となります。また、そうした外国人受益者の存在が信託証書に明示されている必要もなく、外国人が受益者になり得るという点のみによって、該当する家族信託は外国人とみなされます。 しばしば家族信託の信託証書では、核家族だけでなく、広く親族を受益者として設定する場合があります。また、そうした受益者が所有する会社やチャリティー組織など、関連法人を受益者として指定するケースもあります。     例えば、上記の図のような当事者関係において、XYZ裁量信託の受益者として「A氏(オーストラリア人)」並びに「A氏が権利を有する会社・信託」が指定されていたとします。更に、99%の株式が外国人によって持たれているABC社があったとして、A氏はABC社に1株のみを所有しているとします。このような場合、「ABC社はXYZ裁量信託の受益者になる可能性がある」ということになり、XYZ裁量信託は「外国人」とみなされ、外国人特別課税の対象となります。XYZ裁量信託がABC社に対し信託財産の分配をした事実が無く、今後分配する意思が一切無くとも、この場合は無関係となります。 別の例として、当事務所が直近で確認した裁量信託証書では、その受益者として「大学・カレッジ等の教育機関(その種類を問わず、また所在のオーストラリア国内外を問わない)」という表記がされていました。この信託もまた、「外国人」の定義に含まれることとなります。 また、家族信託の受益者となり得る「親戚」の中に、外国人が含まれ得るような場合にも、その家族信託は「外国人」とみなされることとなります。 今回の法改正により、「信託の受益者となり得る者において、外国人を除外しない限り、裁量信託の受託者は、外国人受託者とみなされる」ということが明確になります。これにより、上記のような「みなし外国人信託」のカバー範囲の広さが改めて強調されると同時に、外国人が受益者に含まれないことを明記することで、外国人信託とみなされるリスクを回避することができることになります。   終わりに 仮に裁量信託を通じて不動産の購入を考えている場合、あるいは既に裁量信託によって不動産を所持している場合であっても、本法案が許容する猶予期間である2020年12月31日以前であれば、そうした裁量信託の証書に「受益者に外国人は含めないものとする」という条項を挿入・修正することができることになります。 2020年末までまだ半年ほどあるものの、家族信託が外国人信託とみなされ、特別課税の対象となるリスクを回避するためにも、早急に信託証書の修正を実施することをおすすめいたします。 外国人特別課税リスク回避や、信託証書の確認及び修正につきましては、どうぞお気軽にH&H Lawyersまでご相談ください。