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林由紀夫

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ティンロク・シェ

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税法

日豪間の税務問題 

Q:在豪10年の永住者です。不動産購入のための頭金の一部を、日本の両親が援助してくれることになりました。頭金の一部を父から受け取ることに関し、税金等、何か問題が生じますか?   A:この問題については、特に日本とオーストラリア、両国の税法に関し確認する必要があります。 日本の税法については、言うまでもなく贈与税の問題が生じる可能性があります。一昔前であれば、受贈者が海外にある程度の年数居住している場合には、贈与税を回避できました。しかし過去、大手消費者金融会社のオーナーが香港永住者の息子にその株を贈与した際に、多額の贈与税が回避されてしまった事件をきっかけに、日本の税法が改正され、受贈者が海外にどれだけ長く永住していたとしても、贈与税は回避できなくなりました。しかし贈与額や贈与目的によっては控除が可能な場合も多々ありますので、詳しくは日本の税理士等の専門家とご相談されるのが良いと思います。 オーストラリアにおいては、日本の贈与税に直接相当するものはありませんが、その贈与の状況によっては、Capital Gain Taxの問題が生じる可能性もありますので注意する必要があります。 また最近では、オーストラリア国税局が「海外からの収入の秘匿に関するTaxpayer Alert」を発表し、海外からの送金につき、税務当局の対応が厳しくなりました。オーストラリア居住者が海外から収入を得ている場合、原則的に、その海外からの収入についてもオーストラリア国税局に申告する義務があり、所得税の課税対象になります。しかしこの送金が贈与・融資ということであれば、それは“収入”ではなく、所得税の対象にはなりません。そこでこの点を利用し、海外からの収入を贈与や融資であるかのようにみせかけた脱税行為が多発していたようです。 ただし、親子間で純粋にローンを組む事もあります。そのような場合には、金利、返済スケジュール等が明記された一般的なローン契約の締結が必要になると思います。この点も事前に日本の専門家に相談されることをお勧めします。 今回の相談のケースでは、上述の理由から税務当局からその送金についての問い合わせがあるかも知れません。「贈与」であることを立証する義務は納税者側にありますので、贈与証明書等を作成して交わしておき、必要に応じてそれを提出できるようにしておくことをお勧めします。無論、その送金に関し日本で贈与税の納税がされているような場合には、ほとんど問題はありません。