X
婚姻財産分配や子供の養育に関する事柄など、家族法問題はしばしば非常に複雑になりがちです。当事務所の家族法チームは、包括的なアドバイスを提供し、クライアントの心理的・金銭的負担を最小限に抑えるべく努め、両サイドの当事者が納得できるような結果を得られるよう尽力いたします。

主な取り扱い分野

Professionals

ジョン・カン

ジョン・カン

パートナー弁護士

上田大介

上田大介

弁護士

コラム

MORE >


家族法

オーストラリアにおける婚姻財産の分配 - 別居中の相続 

Q:オーストラリアに居住して20年近くになります。夫と別居して5年になり、連絡もほとんど取っていません。もう、夫婦としての関係は破綻したと思っており、離婚と婚姻財産分配の手続きを始めようかどうか悩んでいたところ、先日、夫から「末期の癌が見つかって、医者から余命1か月だと宣告された」との知らせがありました。夫の遺言書の内容は知らされていませんが、私に全てを遺すような遺言書を書いているとは思えません。もし彼が亡くなってしまった場合、私の婚姻財産に対する権利はどうなるのでしょうか?また、私にも遺産を受け取る権利はあるのでしょうか? A:オーストラリアにおける離婚及び婚姻財産の分配については、Family Law Actという法律が適用されます。同法第79(8)条により、婚姻財産に関する裁判が開始されていれば、どちらかがその途中で死亡しても、遺言執行人または遺産管理人を故人の代理人として裁判を継続することができます。重要なのは、訴訟は配偶者が存命中に開始されなければいけないということです。もしご主人が亡くなる前に裁判が開始されていなければ、配偶者の婚姻財産分配の請求権は消滅していまいます。従って、もしもあなたが婚姻財産分配という方法を選択するのであれば、早急に訴訟を始める必要があります。 もしご主人が亡くなる前に婚姻財産分配の裁判が始められなかった場合には、あなたの権利は、遺産の相続人としての権利となってしまいます。この点、もしご主人があなたに財産を全く遺さない、または不十分な遺産だけを遺すような遺言書を書いたとしても、配偶者であるあなたには、Family Provision(日本の遺留分請求に似た制度)を求める権利があり、遺産の一部を取得できる可能性はあります。Family Provision上、あなたにはどのくらいの権利があるのか、または無いのかは、裁判所があなたの状況等、遺産に関する様々なことがらを考慮し、自由裁量により判断します。特に重要となるのは、あなたがご主人の扶養家族として自身の生活をご主人に頼ってきたかどうかという点です。 これに対し、婚姻財産分配を求めるという方法では、家庭裁判所は主に「分配対象となる婚姻財産を取得するために、夫婦それぞれがどれだけ貢献したか」という、過去の婚姻期間中の状況の分析に重きをおいて、財産の分配額の判断をします。ちなみに、専業主婦による子育てや家事等の家庭への貢献も当然考慮されます。


家族法

オーストラリアにおける協議離婚 - ペットは誰のものに

Q: 夫と協議離婚をすることになりました。子供はいないのですが、飼い犬がいます。この子が私にとっても夫にとっても子供みたいなもので、双方、この犬の権利をめぐって争いになっています。離婚時のペットの扱いは、法律上どうなっているのでしょうか?   A: 近年、ペット(特に犬・猫)の多くは、家族の一員のように暮らしていて、多くの離婚において、誰がペットの所有者となるべきか、裁判所で争われるケースがあります。 離婚、婚姻財産の分配等に関するオーストラリアのFamily Law Act 1975 (Cth)には、離婚をしようとしている夫婦が飼っているペットに関する直接の言及はありませんが、これまでの判例で、家庭裁判所は「ペットも個人財産である」との判断を下しています。ペットも個人財産であるため、家庭裁判所は、同法第79条により、ペットを離婚当事者の財産の一部として考え、その所有権は誰にあるのかについて命令を下すことができます。 では、ペットはどれくらいの価値があるのかというと、一般的には、愛玩を目的として飼育されるわけですから、金銭的な価値はないものと考えられています。しかし、優良な血統などの理由により、金銭的価値があるペットに関しては、婚姻財産の一部として他の財産と同じように扱われるケースもあります。ペットの所有権をめぐって当事者間で争いがある場合には、家庭裁判所は、他の財産と同じように、各当事者の言い分を考慮し、その判断をします。 次のような状況は、ペットの所有権はあなたにあると主張するために有利となります。 例えば、 Local councilにおけるペットの登録に関して、あなたが所有者として登録されていること あなたの情報が、ペットに埋め込まれているマイクロチップに登録されていること あなたが常時ペットを獣医に連れていっていることを証明するためのレシート等があること ペットをトレーニングスクール等に連れていっていること 離婚後も十分ペットを飼える住居に住んでいること(特にそのペットが大型犬の様な場合にはなおさら広い庭付きの家等に住めることが重要となります) 頻繁に餌やりや散歩に連れて行くなどして、ペットがあなたを一番の飼い主として認識していること  などです。 いずれにせよ、ペットの所有権については、裁判ではなく、調停や交渉などの方法で決定することが望ましいでしょう。大切なことは、子供の親権争いの時と同様に、ペットの場合でも、大切な事はそのペットにとって、どういう判断が最も幸福をもたらすかということではないでしょうか?


家族法

オーストラリアの相続 ― 別居後受け取った遺産

別居後受け取った遺産-離婚における財産分与の対象になるか 別居後に受け取った遺産は、離婚の際の財産分与の対象になる当事者の婚姻財産の一部として考慮されるべきではないと考えるのが自然かもしれませんが、裁判所には、当事者の全財産(婚姻前、婚姻中、別居後に取得した資産全て)、及び、各当事者の金銭的貢献度・非金銭的貢献度を全て考慮した上で、以下のどちらかの手段において財産分与に関する判決を下す裁量が与えられています。 別居後受け取った資産を他の婚姻財産とは別に扱う。 別居後に受け取った資産を、財産分与の対象となる婚姻財産の一部として扱う。 上記の点を扱ったHigh Court とFamily Courtの最近の判例をみてみましょう。   Singerson & Joans [2015] 別居後夫は$3,000,000.00の遺産を受け取ったが、妻は婚姻中常に、家事・子育ての分野において、及び、一家の稼ぎ手としても、夫以上の貢献をしてきた。家庭裁判所は、別居した日から裁判までの4年間だけでなく、15年間の婚姻関係における全貢献、夫の初期の貢献と別居後の遺産も考慮に入れ、夫が受け取った遺産を含めた婚姻財産の総額から、妻の取り分を47.5%とした。家庭裁判所は、このような別居後の「棚ぼた」をどう扱うべきかに関しは、一定のガイドラインを提示することを避け、裁判所の裁量によりケースバイケースで判決を下すべきであるという見解を示した。   Holland & Holland [2017] ティーネージャーの子供を2人もつ当事者は、2007年に別居し2012年に離婚した。別居後3年半後に夫は、死去した兄弟から$715,000.00の遺産を受け取った。この遺産は婚姻財産の一部には含まれず、夫の「財力」の一部とみなされた。控訴裁判において家庭裁判所は、「原則として一財産が財産分与の過程において完全に考慮から外されるということはあってはならないが、場合によっては、これに対する各当事者の権利、貢献度により、その他の婚姻財産とは別に扱うのが適切な場合もある。」とした。   Calvin v McTier [2017] 1人の子を持つ当事者は、結婚8年間後に別居した。別居後4年後に夫は、死去した父から$430,000.00の 遺産を受け取った。この遺産は全婚姻財産、$1,340,000.00の32パーセントを占めた。夫は、この遺産は婚姻関係には全く関係ないので、婚姻財産の一部とされるべきではないと主張したが、裁判所はこの遺産を婚姻財産の一部に含めるとし、これに対し夫が受け取った遺産の貢献度を認め、財産分与の割合を夫75%、妻25%とした。更に夫と妻の所得の差を考慮して10%を妻の取り分に追加し、夫65%、妻35%とする判決を下した。   以上の判例から、財産分与に関する判決を下す前に、まず婚姻財産の全てを明確にしなければならないこと、また、各資産がどのように扱うかわれるかは、ケースバイケースで裁判所の裁量により判決が下されることが分かります。別居後受け取った資産に関する裁判所のアプローチは各ケースの事実関係により異なり、裁判所の裁量により場合によっては、その他の婚姻財産とは別に扱われる可能性があります。


家族法

オーストラリアにおける離婚の際の財産分与

離婚の際の財産分与 – マイホームの購入に親からの経済的援助を受けた場合 結婚後マイホームの購入する際、親からの資金援助を受けて購入する場合が多々あります。そのような状況において婚姻関係が決裂した場合、裁判所は親から受け取った資金を財産分与の際どうのように扱うのでしょうか。 一定の条件に基づいて返金が義務付けられていることを明記するローン同意書、担保証書、もしくはローンであることを確認した当事者間の話し合いの記録等なんらかの証拠がある場合、親から受けとった資金はローンであるとみなされます。受け取った資金が親からのギフトであった場合は返済の義務が伴いませんので、婚姻期間が長期にわたる場合は特に共有財産一部とみなされてしまう可能性が大です。親からの資金援助がローンであったかギフトであったかを考慮に入れ、当事者の共有資産の総額を算出しそれぞれの持ち分を決定する際、裁判所は、Family Law Actに明記されている様々な条件を考慮に入れます。 親からの資金援助がローンであったかギフトであったか明確でないケースが多々あり、離婚の際大問題に発展するケースが多々あります。例えば、親から$400,000の資金援助を受け$800,000のマイホームを購入し、すでにローンの支払が終わっている場合、この$400,000がローンであったかギフトであったかは共有財産の総額を定めるのに重要なポイントとなります。これは、その他の資産がなく資金援助の額が多きければ大きいほど重要な争点になっていきます。  子供に資金援助をする際は、弁護士をその時点で雇い、資金援助の意図を明確にしておくことです。これを怠ると子供が離婚することになった場合、離婚裁判に利害関係者として連名され裁判に出廷しなければならなくなったり、供述書を提出しなければならなくなり、長期間における重度のストレスを抱えることになります。更に裁判となると多額な弁護士費用がかかります。 離婚裁判の際弁護士費用に多額な資金を費やさないためには、財産分与に関する問題で事が裁判に進展ないよう、早期和解に向けて、初期段階において相手側と適切な交渉を開始することが重要です。 


家族法

財産分与における資産評価

離婚における婚姻財産分与に関する裁判において、まず初期のステップとして、当事者が所有する資産を明確にし、その評価を得る必要があります。財産分与に関する問題が、当事者間の話し合いで解決できず、裁判に発展した場合、裁判所は別居が始まった時点での資産評価ではなく、裁判の日における資産評価を基に判決を下します。これは、別居が始まった日から裁判の日までにかなりの年月が経っている可能性があり、別居が開始された日の資産評価を基に判決を下すと正当な判決にならない可能性があるからです。   当事者の一人が別居後も共有財産である家に住み続け、どちらかがローンの支払いをし続けているケースが多々あります。不動産の価値は通常上昇傾向にあり、又、ローンを支払いに応じて純資産額が増加します。裁判所は別居後に当事者それぞれが婚姻財産のメインテナンス、改築等、価値の向上にどのような貢献をしたかを考慮に入れて判決を出します。この点、別居後ローンを支払い続け、財産の価値の向上に努めてきた側が、財産分与の最終判決において、その貢献を正当に反映した判決を得るためには、その詳細を明確に記録として残し、裁判の際にそれを証拠として提出できるようにしておく必要があります。又、別居後に婚姻財産の価値の向上に貢献した場合、その度合い・重要性も裁判において考慮に入れてもらえるよう、過去における資産評価も入手しておくべきです。


家族法

ソーシャルメディア上のコミュニケーション・コメント・ポスト‐離婚裁判の際に証拠として使用されるケース

離婚は人生の中で最も苦悩をもたらす出来事の一つです。そのため、離婚争議中に感情的になり、相手に対するフラストレーション・怒りをFacebook等のソーシャルメディア上で解消する行為に出てしまい、後に後悔する結果になるケースが残念ながら多々あります。 近年では離婚裁判、特に親権が関わるケースにおいて、Instagram、Facebook、Twitter等のソーシャルメディアにポストされた内容が、親としての人格を問われる事実を証明する証拠として使用されるケースが増えています。ソーシャルメディアが証拠として使用され、裁判の結果にネガティブな影響を与えないよう、以下の点、注意する必要があります。 相手に対する礼儀を欠いたコメント、相手を軽蔑するようなコメントは親としての責任に欠ける態度として受け取られるので、控えること。(Email / SMSにおいても控えること。) 飲み会で泥酔した際に起こした愚行等、人格を疑われるような行為、自分の評判を傷つける可能性のあるような状況において、自分の写真を他人にとられないよう気を付けること。 泥酔した際に起こした愚行等、親としての当事者の人格にネガティブなイメージを与える可能性のあるポストはしないこと。 一度ポストしてしまうと、後で削除しても既にそのポストのスクリーンショットを取られてしまっている可能性があるので、要注意。ポストする前に再度よくその内容がどう影響するか考えること。感情的になっているときにポストしないこと。 自分がポストしたコメントを子供に読まれた場合、それが子供に同のような影響を与えるかを常に考え、悪影響を与えそうなポストはしないこと。 日常的な出来事を過剰にシェアーしないこと。 家庭裁判に関わっていることをソーシャルメディア上で開示しないこと。家庭法第121条違反とみなされる可能性あり。   以下は上記に関する判例です。 父親が母親との合意なしに子供達を連れ去ったあとに、母親のもとに残った10歳の息子に、「おまえを無能な母親から引き離したい」 というSMSをおくった。数年後同父親はFacebookにも、自分が子供を誘拐したことに関する裁判が始まることをWhat a ***** joke! というコメントと共にポストし、他にも母親の名誉を傷つける様々なコメントをポストした。これらは後の裁判において、子供達がFacebookにアクセスしこれらコメントを読む可能性があること、及び、このようなコメントが子供たちに与える影響を父親が全く理解していないことを証明することに使用された。 父親が、「自分の娘に会いに行っただけで刑務所行き。最悪な家庭裁判のシステム!」というコメントを含め裁判に関するさまざまな批判をFacebookにポストした。これが後に親としての責任感に欠ける父親の態度を証明する証拠として使用された。 子供たちが、母親との監視付き面会中に写真をとられるのを嫌がり、動揺していたにもかかわらず、母親は写真をとりそれをFacebookにのせた。後の裁判において、これが子供たちの置かれている状況を母親が全く理解していないことの証拠として使用され、他のFacebookのポストも母親が薬物を使用していることの証明として使用された。