セール品の返品 – 消費者保護法

2019年6月6日

Q:先日、衣料品店でセールをやっていたので、ジーンズを一本買ったところ、2回履いただけでジッパーの部分が壊れて履けなくなってしまいました。店に返品しに行ったところ、「セール品ですので返品は受け付けません」と言われ、なんだか騙されたような思いです。法的にどうにかできないのでしょうか?

A:オーストラリアでは、消費者保護法(Australian Consumer Law、以下「ACL」)により、消費者には様々な権利が保証されています。ちなみにACLの適用範囲は大変広範囲にわたり、商品だけでなく、サービスにも適用され得ます。ACLの第54条は、その商品が妥当に「安全で、耐久性をそなえ、瑕疵なく、外見にも問題なく、通常の用途にかなうものである」という、いわば法律上の品質保証を定めています。今回のケースについて言えば、2度着用しただけで壊れるような衣類は少なくとも「妥当な耐久性」があるとは言えないでしょうから、店はこのジーンズにつき、返金、交換、または修理をする義務があると判断します。

ACLの第54条では、その商品につき、一般的な用途、価格、表示等が考慮され、その商品の「妥当な品質」の保証の度合いが判断されます。例えば、5ドルのTシャツの場合は、50ドルのTシャツの場合にくらべ、保証される「妥当な品質」の度合いは当然低くなります。つまり、5ドルのTシャツを数回洗濯して色落ちしても、恐らく消費者保証のクレームはできないでしょう。冷蔵庫などの白物家電が1年の通常使用後に壊れた場合には「妥当な耐久性」がないと考えられるでしょう。よく家電等の商品には、決められた期間(例えば1年)のメーカー保証がついてきます。しかしながら、たとえこのメーカー保証期間が切れたとしても、上記第54条が適用されるのであれば、消費者の商品の欠陥に対する権利は継続します。ちなみに、メーカー保証書の中には「このメーカー保証は消費者のACL上の権利を制限するものではない」と記載することが義務付けられています。

また、購入した商品が「セール品」や、中古品、ネットショッピングで購入したものであったとしても、保証の度合いに差はあるでしょうが、原則的に第54条は適用されます。ACLの消費者保証が適用されないケースの例としては、レシートなどの提示ができず、その店から購入した証明ができない、個人間(ガレージセール等)またはオークションで購入した、普通でない使い方をした、また、品質に何ら問題はなく「購入後に気が変わった」という理由だけで返品しようとする場合などがあります。

今回のようなケースで、店がジーンズの返品等に応じてくれない場合には、店のマネージャに「Australian Competition and Consumer Commissionや、Fair Trading等の機関に相談する」と、まずは伝えてみることをお勧めします。それでも応じてくれないようであれば、実際にこれらの機関に連絡すると良いと思います。

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林由紀夫
主任弁護士
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